目が覚めたらクマのぬいぐるみになっていた。
「動ける分だけまだマシか…」
そう呟くとおもむろにリビングへと向かった。
「おはよう母さん」
フカフカでキュートな身体になってしまったが、母さんならきっと気付いてくれるだろう。
「きゃあああああああああ」
「おはよう父さん」
「うわあああああああああ」
「おはよう妹」
「しゃべったああああああ」
やれやれ騒がしい家族だ。
俺はクマになってしまったことを家族に伝えると、家族は意外にもすんなりと受け入れてくれた。
それからしばらく家族同士で話し合った。
「ずっとそのままでいて欲しい」
「馬鹿を言え」
妹とのやりとりを聞きながらくすっと笑う両親。
思えば、家族とこうして会話をするのはいつぶりだろうか。
「何も変わってないんだな」
「あんたはクマになってるけどね」
クマに変わってしまったことで変わらないものに気付かされるとは。
いやもしかすると、その変わらない家族の絆を気付かせるために神様か誰かが俺をクマに変えたのかもしれない。
回りくどいことをしやがって。
だが、悪くはない。
するとみるみるうちに元の身体へと戻っていった。
一時はどうなるかと思ったが本当によかった。
では改めて挨拶をしよう。
「おはようみんな」
慌てふためく妹と呆れたような顔の両親。
戸惑う俺に家族は口を揃えてこう言った。
「服を着ろ!」
人生で最悪な朝になってしまった。
だが、悪くはない。
プログラミングスクール 給付金